49〕 文化財保護法(28)

この法律は、文化財を保護し、かつ、その活用を図り、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とします。

【法43条(重要文化財の現状変更等の制限)】

重要文化財(国宝を含みます)に関しその現状を変更し、またはその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、原則として、文化庁長官の許可を受けなければなりません(法43条)。

【法45条1項(重要文化財の付近の地域における一定の行為制限)】

文化庁長官は、重要文化財(国宝を含みます)の保存のため必要があるときは、地域を定めて一定の行為を制限し、または禁止することができます(法45条1項)。

【法46条1項・5項(重要文化財の譲渡の制限)】

重要文化財(国宝を含みます)を有償で譲り渡そうとする者は、まず文化庁長官に国に対する売渡しの申出をしなければならず、申出後30日以内に文化庁長官が買取の通知をしたときは、予定対価相当額で売買が成立したものとされ、この期間内は当該重要文化財を譲り渡すことはできません(法46条1項・5項)。

【法125条(史跡名勝天然記念物に関する現状変更等の制限および原状回復の命令)】

史跡名勝天然記念物(特別天然記念物を含みます)に関しその現状を変更し、またはその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、原則として、文化庁長官の許可を受けなければなりません(法125条)。

【法128条1項(史跡名勝天然記念物の保存のための一定の行為制限)】

文化庁長官は、史跡名勝天然記念物の保存のため必要があるときは、地域を定めて一定の行為を制限し、または禁止することができます(法128条1項)。

【法139条1項(現状変更または保存に影響を及ぼす行為の届出等)】

重要文化的景観に関しその現状を変更し、またはその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、原則として、当該行為をしようとする日の30日前までに、文化庁長官にその旨を届け出なければなりません(法139条1項)。

 

(解説)

「重要文化的景観」とは、文部科学大臣が、都道府県または市町村の申出に基づき、当該都道府県または市町村が定める景観法に規定する景観計画区域または景観地区内にある文化的景観であって、当該都道府県または市町村がその保存のために必要な措置を講じているもののうち、特に重要なものとして選定されたものをいいます(法134条1項)。

【法143条1項(伝統的建造物群保存地区における現状変更の制限)】

市町村が都市計画において伝統的建造物群保存地区を定めた場合においては、その保存のため、条例で現状変更の規制がなされます(法143条1項)。

 

(解説)

「伝統的建造物群保存地区」とは、伝統的建造物群(周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群であって、価値が高いもの)、およびこれと一体をなしてその価値を形成している環境を保存するため市町村が定めた地区をいいます(法142条)。

【法182条2項(地方公共団体が指定した文化財に係る行為の制限)】

地方公共団体は、条例により、重要文化財、重要無形文化財、重要有形民俗文化財、重要無形民俗文化財および史跡名勝天然記念物以外の文化財のうち、重要なものを指定して、その保存および活用のために一定の行為の制限を行うことができます(法182条2項)。