53〕 土壌汚染対策法(32)

この法律は、土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置、およびその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護することを目的としています。

 

「特定有害物質」とは、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質(放射性物質を除きます)であって、それが土壌に含まれていることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものをいいます(法2条1項)。

 

なお、本法律は平成15年2月から施行されていますが、これまで、法に基づかない自主的な調査による土壌汚染の発見の増加、掘削除去の偏重、汚染土壌の不適切処理による汚染の拡散などの課題が明らかになったことから、これらの課題を解決するため、健康被害の防止という法の目的を継承しつつ、土壌の汚染の状況の把握のための制度の拡充、規制対象区域の分類等による講ずべき措置の内容の明確化、汚染された土壌の適正処理の確保に関する規定の新設などを盛り込んだ改正法が平成21年4月24日に公布され、平成22年4月1日から施行されました。

【法6条(都道府県知事による要措置区域の指定)】

都道府県知事は、土地が次の①、②のいずれにも該当すると認めるときは、当該土地の区域を、その土地が特定有害物質によって汚染されており、当該汚染による人の健康被害を防止するため、当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他の措置を講ずることが必要な区域について「要措置区域」として指定します。(法6条1項)。

 

●土壌汚染調査の結果、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないこと(同項第1号)

●土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係わる被害が生じ、または生ずるおそれがあるものとして法令で定める基準に該当すること(同項第2号)

【法9条(要措置区域内における土地の形質の変更に関する制限)】

法第6条で指定された要措置区域内においては、何人も、土地の形質の変更をしてはなりません。(法9条)。ただし、次の各号に掲げる行為については、この限りではありません。

 

●都道府県から指示を受けた者が指示措置等として行う行為

●通常の管理行為、軽易な行為であって、環境省令で定めるもの

●非常災害のために必要な応急措置としての行為

【法12条(形質変更時要届出区域内における土地の形質の変更の事前届出義務)】

都道府県知事は、土地が法9条で記載した、①に該当するが、②には該当しないと認めるときは、当該土地の区域を、その土地が特定有害物質によって汚染されており、当該土地の形質の変更をしようとするときには届出をしなければならない区域について「形質変更時要届出区域」として指定します(法12条1項)。

 

その形質変更時要届出区域内において土地の形質の変更をしようとする者は、その着手する日の14日前までに、都道府県知事にその旨を届け出なければなりません。

 

また形質変更時用届出区域内において非常災害のために必要な応急措置として土地の形質の変更をした者は、その土地の形質を変更した日から起算して14日以内に都道府県知事に届け出なければなりません(同条第3項)。