35〕 下水道法(18の5)

【法25条の3(管理協定の締結等)】

公共下水道管理者は、浸水被害対策区域において浸水被害の防止を図るため、浸水被害対策区域内に存する雨水貯留施設(浸水被害の防止を図るために有用なものとして政令で定める規模以上のものに限る。以下同じ。)を自ら管理する必要があると認めるときは、雨水貯留施設所有者等(当該雨水貯留施設もしくはその属する施設の所有者、これらの敷地である土地の所有者または当該土地の使用及び収益を目的とする権利(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。次条第1項において同じ。)を有する者をいう。以下同じ。)との間において、管理協定を締結して当該雨水貯留施設の管理を行うことができる。

 

2  前項の規定による管理協定については、雨水貯留施設所有者等の全員の同意がなければならない。

【法25条の4】

公共下水道管理者は、浸水被害対策区域において浸水被害の防止を図るため、浸水被害対策区域内において建設が予定されており、または建設中である雨水貯留施設を自ら管理する必要があると認めるときは、雨水貯留施設所有者等となろうとする者(当該雨水貯留施設もしくはその属する施設の敷地である土地の所有者または当該土地の使用及び収益を目的とする権利を有する者を含む。以下「予定雨水貯留施設所有者等」という。)との間において、管理協定を締結して建設後の当該雨水貯留施設の管理を行うことができる。

 

2  前項の規定による管理協定については、予定雨水貯留施設所有者等の全員の合意がなければならない

【法25条の5(管理協定の内容)】

第25条の3第1項又は前条第1項の規定による管理協定(以下単に「管理協定」という。)には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 

一  管理協定の目的となる雨水貯留施設(以下「協定雨水貯留施設」という。)

二  協定雨水貯留施設の管理の方法に関する事項

三  管理協定の有効期間

四  管理協定に違反した場合の措置

 

2  管理協定の内容は、次に掲げる基準のいずれにも適合するものでなければならない。

 

一  協定施設(協定雨水貯留施設またはその属する施設をいう。以下同じ。)の利用を不当に制限するものでないこと。

二  前項第二号から第四号までに掲げる事項について国土交通省令で定める基準に適合するものであること。

【法25条の7(管理協定の公示等)】

公共下水道管理者は、管理協定を締結したときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示し、かつ、当該管理協定の写しを当該公共下水道管理者である地方公共団体の事務所において一般の縦覧に供するとともに、協定施設又はその敷地である土地の区域内の見やすい場所に、それぞれ協定施設である旨又は協定施設が当該区域内に存する旨を明示しなければならない。

【25条の9(管理協定の効力)】

第25条7(前条において準用する場合を含む。)の規定による公示のあった管理協定は、その公示のあった後において当該協定施設の雨水貯留施設所有者又は予定雨水貯留施設所有者等となった者に対しても、その効力があるものとする。

 

(解 説)

この法律は、流域別下水道整備総合計画の策定に関する事項並びに公共下水道、流域下水道及び都市下水路の設置その他の管理の基準等を定めて、下水道の整備を図ることにより、都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与することと公共用水域の水質の保全に資することを目的としています。

 

同法は、平成27年、水防法の改正に合わせて、下水道管理をより適切なものとするため、雨水貯留施設の管理協定制度の創設、下水道施設の適切な維持管理の促進など、いくつかの重要な改正が行われました。その改正において、都市機能が集積し、下水道のみでは浸水被害への対応が困難な地域において、民間の設置する雨水貯留施設を下水道管理者が協定に基づき管理する制度が創設されました。すなわち、公共下水道管理者と所有者等は雨水貯留施設の協定を締結することができるとされましたが(第25条の3)、その旨の公示等がなされた管理協定については、その公示後に当該管理協定の対象である雨水貯留施設の所有者等になった者に対しても協定の効力が及ぶものとされました(第25条の9)。そのため、公示があった管理協定の対象とされる雨水貯留施設が含まれる宅地又は建物を購入する者が、その管理協定の効力を知らなかった場合は、不測の損害を被るおそれがあります。そこで、同改正法の施行(平成27年7月19日)に伴い、重要事項説明の「法令上の制限」に、この管理協定の承継効が追加されました。