56〕高齢者、障害者に関する法律(34)

56〕 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(34)

この法律は、高齢者、障害者等の自立した日常生活および社会生活を確保することの重要性にかんがみ、道路、公園施設、建築物等につき一定の措置を講ずることにより、高齢者、障害者等の日常生活および社会生活における移動上および施設の利用上の利便性および安全性の向上の促進を図ることを目的とします。

【法46条(移動等円滑化経路協定の承継効)】

移動等円滑化経路協定は、その公告があった後において当該移動等円滑化経路協定区域内の土地所有者等となった者に対しても、その効力が及びます(法46条)。

 

(解説)

「移動等円滑化経路協定」とは、重点整備地区内の一団の土地の所有者等が、その全員の合意により、当該土地の区域における移動等円滑化のための経路の整備または管理に関して締結する協定をいいます(法41条)。

 

協定区域内の土地所有者等は、協定に定められた移動等円滑化に関する基準に従って各々の経路または経路を構成する施設の整備または管理を行うことが求められ、協定によっては、施設整備に係る実質的な費用負担や協定に違反した場合の違約金などが課されることもあり得ることから、土地の購入者等にとって、当該土地が移動等円滑化経路協定区域内であるか否かは契約の意思決定を左右しうるものであり、また、その旨を購入者等が事前に知りえない場合は不測の損害を被る可能性があるため、重要事項として契約締結前に購入者等に説明する必要があります(宅地建物取引業法施行令3条)。

 

さらに、移動等円滑化促進地区内又は重点整備地区内の一団の土地の土地所有者等の全員の合意による移動等円滑化施設協定の公告があった後は、当該協定の対象である土地の所有者等となった者に対しても当該協定の効力が及ぶことになります。

 

【法50条4項(一の所有者による移動等円滑化経路協定の設定の効力)】

重点整備地区内の一団の土地で一人の所有者以外に土地所有者等が存しないものの所有者は、移動等円滑化のために必要があるときは、市町村長の認可を受けて、当該土地の区域を移動等円滑化経路協定区域とする移動等円滑化経路協定を定めることができます(法50条1項)。

 

この移動等円滑化経路協定は、認可の日から3年以内に当該区域内の土地に2以上の土地所有者等が存することになったときから、上記法43条3項の移動等円滑化経路協定と同一の効力を生ずる(法50条4項)。

 

これについても、上記法46条と同様の趣旨から、宅地建物取引業法施行令3条により、重要事項として説明義務が定められています。

【法51条の2第3項(一団の土地所有者等による移動等円滑化施設協定の効力)】

移動等円滑化促進地区内又は重点整備地区内の一団の土地の土地所有者等は、その全員の合意により、高齢者、障害者等が円滑に利用することができる案内所その他の当該土地の区域における移動等円滑化に資する施設の整備又は管理に関する協定(移動等円滑化施設協定)を締結することができます。この場合において、公告があった移動等円滑化施設協定については、その公告後に当該協定の対象である土地の所有者等となった者 に対しても当該協定の効力が及びます。