25〕公有地拡大推進法(15)
25〕 公有地の拡大の推進に関する法律(公有地拡大推進法)(15)
この法律は、都市の健全な発展と秩序ある整備を促進するため、必要な土地の先買制度の整備、地方公共団体に代わって土地の先行取得等を目的とする土地開発公社の創設その他の措置により、公有地の拡大の計画的な推進を図ることを目的としています。
【法4条1項(都市計画区域等内の土地を譲渡しようとする場合の届出義務)】
公共の利益となる事業の用地をスムーズに確保し、その事業に供するため、これらの事業が計画されている土地の有償譲渡について、土地所有者に届出の義務が課されています。
(解説)
1.届出義務
次に掲げる土地の所有者は、当該土地を有償で譲渡しようとするときは、当該土地の所在、面積、譲渡予定価額、譲渡の相手方等を、当該土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事(指定都市および中核市においては、指定都市または中核市の長)に届け出なければなりません(法4条1項、法29条)。
①都市計画施設の区域内の土地(都市計画区域外でもあり得る)
②都市計画区域内に所在する道路区域に決定された土地、都市公園に決定された土地、河川予定地、その他飛行場、港湾施設、高速自動車道、新幹線鉄道の一定の予定地および史跡、名勝、天然記念物に係る一定の土地
③新たな市街地の造成を目的とする土地区画整理事業で、都道府県知事が指定したものを施行する土地の区域内の土地
④新都市基盤整備事業または住宅街区整備事業の施行区域内の土地
⑤生産緑地地区内の土地
⑥都市計画区域内の土地で、その面積が次の規模以上のもの
イ)市街化区域内または重点地域内の5,000平方メートル以上の土地
(注)ここでいう「重点地域」とは、大都市地域における宅地開発および鉄道の一体的推進に関する特別措置法4条7項による重点地域をいいます。
ロ)都市計画区域内で、上記イ)以外の区域にあっては、10,000平方メートル以上の土地
2.届出の適用除外(法4条2項)
①国、地方公共団体等一定の公共的な団体に譲渡するもの、またはこれらの者が譲渡するもの
(注)ここでいう「地方公共団体等」とは、地方公共団体、土地開発公社、港務局、地方住宅供給公社、都市基盤整備公団および地域振興整備公団をいいます(法2条2号、令1条、以下同じ)。
②文化財保護法または大都市法の規定の適用があるもの
③都市計画施設、土地収用法の対象事業等の用に供するために譲渡するもの
④都市計画法による開発許可を受けた開発区域内の土地
⑤都市計画法による先買い制度の適用がある土地
⑥すでに届出をした土地で、届出に係る譲渡制限期間(法8条)を経過した後、1年以内に再び当該届出をした者が譲渡するとき
⑦国土利用計画法の規制区域内の土地
⑧国土利用計画法による事前の届出が必要な土地
(注)国土計画利用法の注視区域および監視区域の届出は、本法の届出とみなされるため、重ねて本法の届出をする必要はありません(法4条3項)。
なお、国土利用計画法におけるいわゆる事後届出制の適用の場合には、重ねて公有地拡大推進法の届出が必要となります。
⑨面積が200平方メートル未満のとき、および農地等を農地等として譲渡するとき(令3条3項・4項)
(注)この基準面積は、都道府県の規則で、原則として100平方メートルまで引き下げることができます(令3条3項)。
【法8条(土地の先買い等の規定に基づいて届出等を行なった土地の譲渡制限)】
上記有償譲渡の届出および都市計画区域内の土地の買取の申出を都道府県知事へした者は、地方公共団体等が土地を買い取ることを検討する期間が必要となるため、一定期間内は、当該地方公共団体以外の者に譲渡してはならないという趣旨の規定です。
(解説)
届出または申出をした土地については、次の期間は、地方公共団体以外の者に譲渡をしてはなりません(法8条)。
①相手方から買取り協議の通知があった場合は、通知があった日から3週間を経過する日(協議不成立が明らかとなったときはそのとき)
②買取り協議の相手方がない旨の通知があった場合は、その通知があったとき
③上記①または②の通知がない場合には、届出または申出をした日から3週間を経過する日まで