73〕〈参考〉短期賃貸借保護制度の廃止

73〕〈参考〉短期賃貸借保護制度の廃止〔担保 物件および民事執行制度の改善のための民法等の一 部を改正する法律〕

平成15年7月25日、短期賃貸借制度の廃止等が規定された「担保物件および民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律」(平成15年法律第134号)が成立し、同年8月1日公布、平成16年4月1日に施行されました。

この法律は、不良債権の処理に際して、不動産競売における執行妨害を排除するための諸制度を改善することを目的として制定されたものです。

【改正法の主な内容】

●抵当権設定登記後の賃貸借は、その期間の長短、期間の定めの有無にかかわらず、抵当権者および競売による買受人に対抗することができなくなります。

●抵当権設定後の建物賃貸借であっても、競売手続の開始前から存した建物賃借人は、買受人が建物を買い受けたときから6か月間、建物の明け渡しを猶予されます(民法395条1項)。

●買受人が買い受けた後に、建物賃借人がその間の建物使用料を支払わない場合は、買受人は建物賃借人に対し、相当の期間を定めて1か月以上の建物使用料の支払を催告し、建物賃借人が同期間内に支払わなければ、上記②の明渡猶予期間は認められません(民法395条2項)。

●抵当権設定後の賃貸借であっても、賃貸借の登記がなされ、かつ、その登記前に登記されたすべての抵当権者が同意し、その同意が登記されたときは、当該抵当権者および競売よる買受人に対抗することができます(民法387条)。

●本改正法施行時に、現に存する短期賃貸借については、従前どおりの内容による短期賃貸借制度が適用されます(法附則5項)。

 

土地の賃貸借は、明渡猶予制度の対象とはなりませんが、期間5年以内の土地の賃貸借で平成16年3月31日以前から存したものについては、同年4月1日以降に契約更新した場合も含めて、引き続き短期賃貸借制度が適用されます。