26〕 農地法(16)

農地法は、農地はその耕作者自らが所有することを最も適当であると認めて、耕作者の農地の取得を促進し、およびその権利を保護し、ならびに土地の農業上の効率的な利用を図るため、その利用関係を調整し、もって耕作者の地位の安定と農業生産力の増進とを図ることを目的とし、運用されてきました。

 

しかしながら、農地の宅地化・耕作放棄地の拡大等による農地の減少、農業従事者の高齢化、食料事情を巡る世界的な情勢の変動に対応するため、農地法が平成21年6月24日付で改正され、平成21年12月15日より施行されました。同法の目的も、「この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。」と、より具体的な内容に改定されています。

【法3条1項(農地または採草放牧地の権利移動の制限)】

農地・採草放牧地について所有権の移転、賃借権その他の使用収益権の設定・移転を行なうには、原則として、当事者が農業委員会の許可を受けなければなりません。これらの権利を取得する者が、その住所のある市町村の区域(同一市町村内に2以上の農業委員会があるときは、住所地を管轄する農業委員会の区域)外でこれらの権利を取得する場合は、農業委員会ではなく都道府県知事の許可を受けなければなりません(法3条1項)。

【法4条1項(農地の転用の制限)】

農地を農地以外のものにする者は、原則として、都道府県知事の許可を受けなければなりません。採草放牧地については、許可は必要ありません。

 

また、同一の事業の目的に供するため、4ヘクタールを超える農地を農地以外のものにする場合には、一定のものを除き、農林水産大臣の許可が必要です。

 

ただし、次の場合には、例外的に許可が不要です(法4条1項、施行規則5条)。

①国または都道府県が道路、農業用排水施設その他の地域振興上または農業振興上の必要性が高いと認められる施設であって農林水産省令で定めるものの用に供するため、農地を農地以外のものにする場合

②農業経営基盤強化促進法に基づいて転用する場合

③特定農山村地域活性化基盤整備促進法に基づいて転用する場合

④土地収用法等によって収用した農地を収用目的に転用する場合

⑤市街化区域内にある農地をあらかじめ農業委員会に届け出て転用する場合

⑥地方公共団体が土地収用法3条に掲げる施設の建設のため、その区域内の農地を転用する場合

⑦市町村等が市街化区域内の農地を転用する場合

⑧自己所有の農地を農業用施設(2アール未満のものに限ります)に供する場合等

【法5条1項(農地または採草放牧地の転用のための権利移動の制限)】

農地の転用または採草放牧地の転用(農地に転用する場合を除きます)を目的として、農地・採草放牧地について、所有権の移転、賃借権その他の使用収益権の設定移転をする場合には、原則として、都道府県知事の許可が必要です。

 

ただし、次のような場合には、許可は不要です(法5条1項、施行規則7条)。

①国または都道府県が第4条第一項第二号の農林水産省令で定める施設の用に供するため、これらの権利を取得する場合

②農業経営基盤強化促進法によりこれらの権利を取得する場合

③特定農山村地域活性化基盤整備促進法によりこれらの権利を取得する場合

④土地収用法等によりこれらの権利を取得する場合

⑤市街化区域内にある農地等をあらかじめ農業委員会に届け出て、これらの権利を取得する場合

⑥地方公共団体が土地収用法3条に掲げる施設の建設のため、その区域内の農地等についてこれらの権利を取得する場合

⑦市町村等が市街化区域内の農地等についてこれらの権利を取得する場合等

【法49条(国が自作農を創設し、またはその経営を安定させるために買収すべきことを規定した土地の形質の変更等の制限)】

平成21年6月24日付の農地法改正により削除されました。

【法73条1項(国が売り渡した未墾地等の処分の制限)】

平成21年6月24日付の農地法改正により削除されました。