12〕 新住宅市街地開発法(7)

この法律は、人口の集中の著しい市街地の周辺の地域における住宅市街地の開発に関し、健全な住宅市街地の開発および住宅に困窮する国民のための住居環境の良好な住宅地の大規模な供給を図ることを目的としています。

【法31条(新住宅市街地開発事業により造成された宅地における建築義務)】

新住宅市街地開発事業とは、都市計画において定められ、都市計画法に基づく市街地再開発事業の1つとして、大規模な住宅団地を造成し分譲することを中心とする事業です。

施行者は、施行計画のほか処分計画も併せて作成し、造成が完了した場合には、この処分計画に従って、原則として公募により分譲します。

住宅に困窮する者への住宅地の供給が目的ですから、造成された宅地の購入者は、実際に住宅を建築しなければなりません。

 

(解説)

新住宅市街地開発事業の施行者から、処分計画に基づき建築物を建築すべき宅地を譲り受けた者(その承継人を含む)は、その譲受の日の翌日から起算して3年以内(一定の規模・用途の建築物の場合は5年以内で、省令で定める期間内)に、処分計画で定める規模および用途の建築物を建築しなければなりません(法31条)。

【法32条1項(造成宅地等に関する権利の処分の制限)】

新住宅市街地開発事業は、施行区域内の土地を買収して造成し、完成した宅地等を分譲する方法によるところ、原則として、政令で定めるものを除き、公正な方法で選考して譲受人が決定され、例外的に、土地を提供した者に対しては、完成宅地等を優先して分譲される制度があります。

この宅地を購入した者は、住宅に困窮する者ということになっているので、特別な事情がない限りは他へ譲渡することはできないことになっています。

 

(解説)

造成宅地等の購入者は、原則として、3年以内に計画に適合した用途の建築物を建築しなければならず、造成事業完了の公告の翌日から10年間は、造成宅地等やその上に建築された建築物に関する所有権、地上権等の権利の設定または移転については、当事者が都道府県知事の承認を受けなければなりません(法32条1項)。