34〕 水防法(18の5)
【法15条の8 (浸水被害軽減地区における行為の届出)】
水防管理者は、洪水浸水想定区域内で輪中堤防その他の帯状の盛土構造物が存する土地の区域において浸水の拡大を抑制する効用があると認められる区域を「浸水被害軽減地区」として指定できるものとされていますが(法15条の6第1項)、この浸水被害軽減地区内の土地において土地の掘削、盛土または切土その他土地の形状を変更する行為をしようとする者は、一定の行為を除いて、その行為に着手する日の30日前までに、行為の種類、場所、設計・施工方法等の事項を水防管理者に届け出なければなりません。
(解説)
この法律は、洪水、雨水出水、津波または高潮に際し、水災を警戒し、防御し、およびこれによる被害を軽減し、もって公共の安全を保持することを目的としています。
近年、集中豪雨等による水害が頻発しており、短時間で河川が増水したり、堤防が決壊して甚大な被害が発生することが多数生じていますが、この被害を最小限にするため、国土交通省、都道府県では一定の河川について洪水時の円滑かつ迅速な避難を確保し、または浸水を防止することにより、水害による被害の軽減を図るため、想定し得る最大規模の降雨により当該河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域を「洪水浸水想定区域」として指定し、指定の区域および浸水した場合に想定される水深、浸水継続時間を洪水浸水想定区域図として公表しています。
この洪水浸水想定区域において、水防管理者が輪中堤防(わじゅうていぼう。ある特定の区域を洪水の氾濫から守るため、その周囲を囲むように造られた堤防)その他の帯状の盛土構造物が存する土地の区域について、浸水の拡大を抑制する効用があると認められるものを「浸水被害軽減地区」として指定できるものとしています(法15条の6)。ここで「水防管理者」とは、水防管理団体である市町村の長または水防事務組合の管理者もしくは長、水害予防組合の管理者のことです。
そして、この浸水被害軽減地区が有する浸水の拡大を抑制する効用を保全する必要があるため、その地区内の土地の掘削、土地の形状の変更をする行為をしようとするときは、一定の事項をあらかじめ水防管理者に届け出なければならないこととしています(法15条の8第1項)。この届出義務があるため、同改正法の施行(平成29年6月19日)に伴い、重要事項の説明の「法令上の制限」に同条が追加されました。