74〕〈参考〉消費生活用製品安全法の改正

消費生活用製品安全法(消安法)は、消費生活用製品の安全性を確保するための法律として昭和49年に施行され、危険性の高い消費生活用製品の技術基準を定めて、安全性が担保されない製品の販売等を規制したり、製品事故に関する情報の収集や提供を行うなどの措置を講ずることにより、一般消費者の生命・身体に対する危害の防止を図っています。

 

1.長期使用製品安全点検制度の創設

平成19年2月に起きた小型ガス湯沸器による死亡事故など、近時、製品の経年劣化を主な原因とする重大な事故が発生しており、このような事故を未然に防止するための措置として、同法の改正により「長期使用製品安全点検制度」が創設されました。この制度は、消費者自身による保守が難しく、経年劣化による重大事故の発生のおそれが高いものを「特定保守製品」として指定し、その製造・輸入事業者、販売事業者等、関連事業者、所有者それぞれが適切に役割を果たすことにより、消費者による点検その他の保守を支援する制度です。具体的には、①特定保守製品の指定 ②特定保守製品の製造・輸入を行う事業者による保守情報の製品表示等 ③情報伝達サークル制度の構築 ④特定保守製品の点検その他の保守の体制の整備 ⑤点検の実施 ⑥国の役割 が定められています。この改正法は、平成21年4月1日から施行されます。

 

2.特定保守製品

消費生活用製品のうち、経年劣化により安全上支障が生じ、一般消費者の生命または身体に対して特に重大な危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品であって、使用状況等からみて適切な保守を促進することが適当なものを、「特定保守製品」として政令で定めています。それは次の9品目です。

●屋内式の都市ガス用瞬間湯沸器

●屋内式の液化石油ガス用瞬間湯沸器

●屋内式の都市ガス用ふろがま

●屋内式の液化石油ガス用ふろがま

●石油給湯器

「ボイラー」や「ふろがま」と称して販売されているものであっても、給湯機能が何らかの形で備わっているものであれば、屋内式、屋外式とも対象になります。

石油ふろがま(屋内式、屋外式とも対象となります。)

●石油温風暖房機(密閉燃焼式)

●電気食器洗機(ビルトイン式)

システムキッチンに組み込むことができるように設計されたものであって、熱源として電気を使用するものに限ります。

●浴室用電気乾燥機

ガスで沸かした温水を利用するタイプのものは対象外です。なお、浴室用電気乾燥機には、換気機能がないものや、暖房機能がないものもありますが、乾燥機能を有するものは全て対象となります。

 

3.特定製造事業者等の義務

特定製造事業者等とは、特定保守製品の製造または輸入の事業を行う者をいい、次のような義務が課せられています。

●設計標準使用期間および点検期間を設定する義務

●特定保守製品への上記①の表示、書面(所有者票)の添付をする義務

●所有者情報に係る名簿等の作成および適切な管理をする義務

●点検通知および点検実施義務

 

4.宅地建物取引業者に係る義務

本法においては、上記の特定製造事業者等のほかに、「特定保守製品取引事業者」及び「関連事業者」という概念を設け、それぞれに一定の義務または責務を課しています。そして、宅地建物取引業者のうち、不動産販売事業者は前者の「特定保守製品取引事業者」に、不動産仲介業者は後者の「関連事業者」に該当することになり、同法上の一定の義務または責務を負うこととされています(ここで「義務」は行政処分を伴うもの、「責務」は行政処分を伴わないものという意味で区別しています)。

 

●不動産販売事業者(特定保守製品取引事業者)の義務と責任

●不動産販売事業者は、特定保守製品を取得者に引き渡す際に、点検等の保守や所有者情報(特定保守製品の所有者の氏名および住所等の情報)の提供(登録・変更)等の必要性を製品の取得者に説明しなければなりません。

●説明の方法は、製品に同梱されている「所有者票」を取得者に示して、そこに記載されている法定説明事項を説明するということになります。

●製品の取得者から所有者登録のため、所有者情報の提供を受けた場合は、特定製造事業者等に対する所有者情報の提供に協力しなければなりません(これは「義務」ではなく「責務」です)。この協力は、所有者票に記載された所有者登録の方法(所有者票の送付やウェブ登録等)の代行等によって行われます。

 

●不動産仲介業者(関連事業者)の責務

関連事業者とは、特定保守製品の取引の仲介、設置・修理、ガス・電気・石油供給を行う事業者のことをいい、不動産仲介業者はこれに該当します。関連事業者に一定の責務を負ってもらう趣旨は、製品の所有者に対して、点検等の保守や所有者情報の提供(登録・変更)の必要性についての情報提供を行い、所有者の取り組みをサポートする役割を担ってもらうというものです。具体的には、不動産仲介業者は、売主から買主に渡される建物の「設備表」に、特定保守製品の有無に関する記載欄を設けて、その設備表の脚注等に、次の事項を明記する等の方法により、売主から買主に特定保守製品の保守に関する情報が伝わるように努めることとされています。

 

≪その脚注等に明記する事項≫

●特定保守製品の所有者は、所有者情報の提供(登録・変更)が必要であること

●特定保守製品の点検期間に点検を行うことが必要であること

●特定製品事業者への連絡先は製品に表示されていること

 

5.所有者(消費者)の責務

特定保守製品の所有者は、特定製品事業者等に対して、所有者情報を提供(登録・変更)する義務を負うものとされています。また、製品の保守に関する情報を収集し、点検期間に点検を行う等その保守に努めるものとされています。