62〕 建物の耐震診断の結果
【宅地建物取引業法施行規則16条の4の3第4号】
宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する省令が、平成18年3月13日に公布され、同年4月24日から試行されたことにより」、宅地建物取引業法35条1項14号に規定する国土交通省令に定める事項として「昭和56年5月31日以前に新築工事に着手した建物について、建築物の耐震改修の促進に関する法律4条2項3号の技術上の指針となるべき事項に基づいて指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関または地方公共団体が行なった耐震診断がある場合は、その内容」について説明しなければなりません。これは、建物の売買、交換、賃貸いずれの場合にも説明が義務付けられています。
この耐震診断結果の重要事項説明は、建築物の耐震基準が整備・強化された昭和56年6月1日以降に新築された建物については、その義務付けはありません。
(解説)
この説明項目は、平成17年10月成立の「建築物の耐震改修の促進に関する法律」の一部改正法における国会の附帯決議、および、同年末に発覚した構造計算書偽装問題に対して関係閣僚会合においてとりまとめられた対応策を踏まえて重要事項説明の項目に加えられたものですが、宅地建物取引業者に耐震診断の実施自体が義務付けられているわけではありません。
建築基準法上の耐震基準が改正された昭和56年6月1日以前に新築工事が着工された建物については、指定確認検査機関、一級建築士、二級建築士、土木建築士、登録住宅性能評価機関または地方公共団体が耐震改修促進法4条1項に規定する基本方針のうち一定の技術上の指針となるべき事項に基づいて行なった耐震診断を受けたものであるときは、その内容を説明する必要があるとするものです。
国土交通省不動産業課の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」によれば、具体的には次のようになります。
●昭和56年5月31日以前に新築工事に着工したというのは、昭和56年5月31日以前に建築確認を受けたという意味ですが、確認済証等がない場合もあるので、具体的には次のような基準で判断されます。
●この説明義務は、売主および所有者に耐震診断の記録の有無を照会し、必要に応じて管理組合および管理業者にも問い合わせた上、存在しないことが確認された場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになります。
●耐震改修促進法4条1項に規定する基本方針のうち技術上の指針(平成17年改正前の耐震改修促進法3条に基づく特定建築物の耐震診断および耐震改修に関する指針を含みます)の一部または全部と同等以上の効力を有すると国土交通大臣が定める方法として次のものがあり、これらに基づく耐震診断も説明すべき耐震診断に該当します。
●(財)日本建築防災協会による「木造住宅の耐震診断と補強方法」に定める「一般診断法」および「精密診断法」(時刻暦応答計算による方法を除きます)
●(財)日本建築防災協会による「既存鉄骨造建築物の耐震診断指針」「既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準」および「既存鉄骨鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準」
●(社)プレハブ建築協会による「木質系工業化住宅の耐震診断法」
●(社)プレハブ建築協会による「鉄鋼系工業化住宅の耐震診断法」
●(社)プレハブ建築協会による「コンクリート系工業化住宅の耐震診断法」
●(財)日本建築防災協会による「既存壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断指針」
●(財)日本建築防災協会による「既存壁式鉄筋コンクリート造等の建築物の簡易耐震診断法」
●耐震診断の結果について、次の書類を別添することとして差し支えありません。
1.住宅の品質確保の促進等に関する法律5条1項に規定する住宅性能評価書の写し(当該家屋について平成13年国土交通省告示第1346号別表2-1の1-1耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に係る評価を受けたものに限ります)
2.地方税法施行規則7条の6の2第2項に規定する書類(耐震基準適合証明書の写し、住宅の品質確保の促進等に関する法律5条1項に規定する住宅性能評価書の写し)
3.租税特別措置法施行規則18条の4第2項、18条の21第1項、23条の6第3項2号に規定する書類(耐震基準適合証明書の写し、住宅の品質確保の促進等に関する法律5条1項に規定する住宅性能評価書の写し)
4.指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関、地方公共団体が作成した耐震診断結果評価書の写し