63〕 宅地建物取引業法

【法35条1項13号(瑕疵担保責任の履行の確保に関する措置の説明)】

「建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律」の宅地建物取引業法改正部分が平成18年12月20日に施行されたのに伴い、宅地建物取引業法施行規則および「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(ガイドライン)」も改正され、同日施行されました。

 

宅地建物取引業者は、宅地もしくは建物の売買、交換もしくは賃貸の相手方等に対して、当該宅地または建物の売買等の契約が成立するまでの間に、当該宅地または建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令(宅地建物取引業法施行規則16条の4の2)で定める措置を講じるかどうか、および講じる場合におけるその措置の概要を取引士に説明させなければなりません。

 

(解説)

「国土交通省令で定める措置」は、当該宅地または建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関する、次の契約の締結をいます。

●保証保険契約または責任保険契約の締結

●保証保険または責任保険を付保することを委託する契約

●責任履行の債務について銀行等が連帯して保証することを委託する契約

 

そして、国土交通省不動産業課の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」によれば、具体的には次のようになります。

●「措置の概要」としては、少なくとも次に掲げる事項を説明することとされています。

●保証保険契約または責任保険契約にあっては、当該保険を行う機関の名称または商号、保険期間、保険金額および保険の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲

●保証保険または責任保険の付保を委託する契約にあっては、当該保険の付保を委託する機関の名称または商号、保険期間、保険金額および保険の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲

●保証委託契約にあっては、保証を行う機関の種類およびその名称または商号、保証債務の範囲、保証期間および保証の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲

●当該措置の概要として、当該措置に係る契約の締結等に関する書類を別添することとして差し支えありません。

●当該宅地または建物が宅地の造成または建物の建築に関する工事の完了前のものである等の事情により、重要事項説明の時点で瑕疵担保責任の履行に関する措置に係る契約の締結が完了していない場合にあっては、当該措置に係る契約を締結する予定であること及びその見込みの内容の概要について説明するものとされています。

●この説明義務については、瑕疵担保責任の履行に関する措置を講じること自体を宅地建物取引業者に義務付けるものではありません。

【法37条1項11号(書面の交付)】

今回の改正により、宅地建物取引業者は、宅地または建物の売買または交換の相手方に対して、当該宅地または建物の売買等の契約が成立したときは、当該宅地もしくは建物の瑕疵を担保すべき責任または当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置の内容を記載した書面を交付しなければなりません。

 

(解説)

国土交通省不動産業課の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」によれば、具体的には次のようになります。

●この書面に記載すべき宅地建物の瑕疵担保責任または当該責任の履行に関して講ずべき措置の内容については、次に掲げる事項を定めるものとされます。

●瑕疵担保責任の内容について定めがあるときは、宅地建物の構造、部分、設備、仕上げ等についてその範囲、期間等の具体的内容

●瑕疵担保責任の履行に関する措置のうち保証保険契約または責任保険契約について定めがあるときは、当該保険を行う機関の名称または商号、保険期間、保険金額および保険の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲

●瑕疵担保責任の履行に関する措置のうち保証保険または責任保険の付保を委託する契約について定めがあるときは、当該保険の付保を受託する機関の名称または商号、保険期間、保険金額および保険の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲

●瑕疵担保責任の履行に関する措置のうち保証委託契約について定めがあるときは、保証を行う機関の種類およびその名称または商号、保証債務の範囲、保証期間および保証の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲

●瑕疵担保責任の履行に関する措置の内容については、当該措置に係る契約の締結等に関する書類を別添することとして差し支えありません。

【法47条1号(業務に関する禁止事項)】

宅地建物取引業者は、宅地もしくは建物の売買、交換もしくは賃借の契約の締結について勧誘するに際し、またはその契約の申込みの撤回もしくは解除もしくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、上記法35条1項各号に掲げる事項や、取引条件または当該宅地建物取引業者もしくは取引関係者の視力もしくは信用に関する事項であって、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの等の一定の事項について、故意に事実を告げず、または不実のことを告げてはなりません。

 

(解説)

本号中、「宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため」とは、例えば、当該目的物に対する隠れた瑕疵が発覚した場合や、契約の目的物となる宅地または建物に関連して宅地建物取引業者に不法行為が発生した場合の修補の請求や損害賠償の請求の権利の行使を妨げることを目的として行う場合が該当する。

 

また、当該条項違反は、行政処分の対象となるほか、直接罰則の対象とされている。そして、今回の改正で、宅地建物取引業者の違反の状況や他法令との均衡等を考慮して、当該条項違反について、懲役刑および罰金刑が強化されている。

 

法人の代表者または法人の代理人、使用人その他の従業者が、違反した場合は、その法人に対して1億円以下の罰金刑を科すこととされています。