27〕 宅地造成等規制法(17)
【法8条1項(宅地造成工事規制区域内における宅地造成工事の制限)】
宅地造成工事規制区域内で宅地造成工事に関する工事を行なおうとするときは、造成主は、工事着手前に都道府県知事(指定都市、中核市または特例市の長)の許可を受けなければなりません(法8条1項)。
なお、ここでいう「造成主」とは、宅地造成工事の請負契約の注文者または請負契約によらないで自らその工事をする者をいいます(法2条5号)。
(解説)
「宅地造成工事規制区域」とは、都道府県知事等が、宅地造成に伴い災害(がけ崩れまたは土砂の流出による災害をいいます)が生ずるおそれの著しい市街地または市街地となろうとする土地の区域について、関係市町村長の意見を聴いて指定する区域をいいます(法3条1項)。なお、この指定は、都市計画区域でなくてもすることができます。
「宅地造成」とは、宅地以外の土地を宅地にするため、または宅地で行なう土地の形質の変更で次のものをいいます。
①切土であって、その切土部分に高さ2メートルを超えるがけ(地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地で、硬岩盤(風化の著しいものは除きます)以外のもの)を生ずることとなるもの
②盛土であって、その盛土部分に高さが1メートルを超えるがけを生ずることとなるもの
③切土と盛土を同時にする場合に、盛土部分に高さが1メートル以下のがけを生じ、かつ、切土および盛土をした部分に高さが2メートルを超えるがけを生ずることとなるもの
④上記①~③に該当しない切土または盛土で、その切土または盛土をする土地の面積が500平方メートルを超えるもの
【法12条1項(宅地造成に関する工事の変更の許可)】
「宅地造成等規制法の一部を改正する法律」が平成18年9月30日に施行され、宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成工事の許可を受けた者が宅地造成工事の計画を変更しようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならないこととされました(改正法12条1項)。
(解説)
当初計画していた宅地造成工事の内容に変更がある場合についても、当該変更に係る都道府県知事の許可の有無によって宅地造成工事規制区域内で造成される宅地の形状に差異が生じることから、宅地建物取引業法施行令2条の5を改正し、当該許可を広告開始・契約締結開始に必要な行政処分として追加することとされました(同様の考え方により、不動産特定共同事業法施行令6条も同様に改正されました)。
また、宅地建物取引業法施行令3条が改正され、本項が重要事項説明事項として追加されました。
【法20条1項(造成宅地防災区域)】
「宅地造成等規制法の一部を改正する法律」が平成18年9月30日に施行され、都道府県知事により、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者その他の者に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域が「造成宅地防災区域」として指定されることとなりました(改正法20条1項)。
(解説)
同区域は、宅地造成に伴う災害の発生のおそれが大きい区域であることに加え、同区域内の造成宅地の所有者等は、災害防止のために擁壁当の設置または改造その他必要な措置を講ずる努力義務が課されます。
これらを踏まえて、宅地または建物の購入者等の保護の観点から、宅地建物取引業法施行規則16条の4の3に、取引に係る「宅地または建物が宅地造成等規制法20条1項により指定された造成宅地防災区域内にあるときは、その旨」を説明することが規定され、重要事項説明として購入者等に説明することとされています。