8〕 土地区画整理法(6)

この法律は、土地区画整理事業に関して、施行者、施行方法、費用の負担等必要な事項を規定することにより、健全な市街地の造成を図ることを目的とします。

土地区画整理事業とは、都市計画区域内の土地について、公共施設の整備改善および宅地の利用増進を図るために、土地の区画形質の変更および公共施設の新設変更に関する事業をいいます(法2条1項)。これは、市街地の造成を図るための代表的な事業の1つで、事業の施行方法としては、土地の買収ではなく、換地方式を用います。

類似の手法による事業に、大都市地域における住宅および住宅地の供給の促進に関する特別措置法(以下「大都市法」といいます)において定められている住宅街区整備事業があります。この大都市法においては特定土地区画整理事業を定めており、この事業は、市街化区域内での住居系の用途地域内で施行され、共同住宅地、集合農地区などを定めた特別な土地区画整理事業です(大都市法10条)。

 

【法76条1項(土地区画整理事業の施行地区内における建築行為等の制限)】

土地区画整理事業を都市計画事業として施行する場合は、市街地開発事業である土地区画整理事業としての都市計画の決定および市街地開発事業である土地区画整理事業としての都市計画の決定および告示がなされ、このときから建築物の建築について都道府県知事の許可が必要になり、都市計画制限がなされることとなります(都市計画法53条1項)。

また、都市計画事業となるか否かにかかわらず、各施行者による事業計画の認可、組合施行にあってはその設立認可等があった後は、都市計画事業の事業地内の制限と同一の制限がなされることになっています。

 

 

(解説)

事業計画の認可、組合設立の認可等の公告があった日以後、法103条4項に規定する換地処分の公告がある日までの間は、次の行為につき都市計画事業と同様の行為制限がなされます(法76条1項)。

①土地の形質の変更

②建築物、工作物の新築、改築、増築

③政令で定める移動の容易でない物件の設置、堆積(施行令70条では、重量5トンを超える物件としていますが、分割が容易で5トン以下に分割できる物件は除くとしています。)

【法99条1項および3項(仮換地指定の効果)】

仮換地が指定されると、当該仮換地について従前から権限に基づき使用収益できた者は、その仮換地を使用収益することができなくなります。その代わりに、指定された仮換地について、使用収益することができることになります。

 

(解説)

1.従前地の使用制限

仮換地が指定された場合、それに対応する従前の宅地は使用収益することができなくなり、仮換地について使用収益することとなります。したがって、従前から当該仮換地について権限に基づき使用収益できた者は、当該仮換地を使用収益することはできなくなります(法99条3項)。

この使用収益することができない期間は、仮換地指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日までですが、仮換地を使用収益することができる日を別に定めた場合には、その別に定めた日から換地処分の公告がある日までです(法99条2項・3項)。

 

2.仮換地の使用

仮換地が指定された場合、従前の宅地について権限に基づき使用収益できる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について従前の宅地について有する権利の内容と同じ使用収益をすることができ、他方、従前の宅地については使用収益することができなくなります(法99条1項)。

【法100条2項(使用収益の停止)】

施行者は、換地処分を行う前に、工事のため必要があるときは、換地計画において換地を定めないこととされる所有者や賃借権者等に対して、期日を定めて、その宅地の使用収益を停止することができます。

 

(解説)

使用収益を停止された場合には、その所有者や賃借権者等は、その指定された期日から換地処分の公告がある日までの間は、当該宅地またはその部分について使用収益することが禁止されます(法100条2項)。

【法117条の2第1項および2項(住宅先行建設区における住宅の建設)】

土地区画整理事業施行地区全体の住宅の建設を促進するため、事業計画において住宅先行建設区を定めることができます。宅地の所有者で換地に先行して早く住宅を建設しようとする者は、換地計画において自分の宅地を住宅先行建設区に定めるように申出をすることができ、申出が認められれば、その指定された宅地について所有権または借地権を有する者は、指定された期間内に住宅を建設する義務が生じます(法117条の2第1項)。

この他、申出をしたか否かにかかわらず、住宅先行建設区内の土地に仮換地を指定された所有者または借地権者についても住宅建設義務が生じます(法117条の2第2項)。

 

(解説)

土地区画整理事業施行地区内で住宅の建設を促進するため、事業計画において住宅建設区が定められることがあります。この地区内では、宅地の所有者等で住宅建設を早く行いたい者は、換地計画で自己の宅地を住宅先行建設区内に定めるよう申出をすることができます。