4〕 都市緑地法(4)
この法律は、都市の緑地の保全および緑化の推進に関して必要な事項を定めることにより、他の自然的環境の整備を目的とする法律と相まって、良好な都市環境を形成することを目的としています。
【法8条1項(緑地保全地域における行為の届出等)】
緑地保全地域内において、次の行為をしようとする者は、原則として、あらかじめ都道府県知事にその旨を届け出なければなりません(法8条1項)。
①建築物その他の工作物の新築、改築または増築
②宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の採掘その他の土地の形質の変更
③木竹の伐採
④水面の埋立てまたは干拓
⑤その他政令で定めるもの
【法20条(地区計画等緑地保全条例)】
都市計画における地区計画等の区域内において、市町村は緑地の保全を図るための条例を定めることができることとされています。
(解説)
市町村は、地区計画等の区域、すなわち、防災街区整備地区整備計画、沿道地区整備計画、集落地区整備計画において、現に存する樹林地、草地等で良好な住環境を確保するため必要なものの保全に関する事項が定められている区域に限り、特別緑地保全地区を除いた区域内において、条例で当該区域内における上記法14条1項各号に掲げる行為につき、市町村長の許可を受けなければならないとすることができます(法20条1項)。
【法29条(管理協定の効力)】
地方公共団体等が、緑地保全地区内の緑地の保全のために土地の所有者等と締結した管理協定は、その公告のあった後に、その管理協定区域内の土地の所有者等となった者についてもその効力がおよびます。
(解説)
都市における緑地の適切な保全および効率的な緑化の推進を図るため、土地所有者等に代わり、地方公共団体またはNPO法人等が管理する制度です。
地方公共団体または一定の指定緑地管理機構は、緑地保全地区内の緑地の保全のため必要と認めるときは、その地区内の土地または木竹の所有者または使用収益権者と、一定の事項を定めた管理協定を締結することができます(法24条)。
この協定は、都道府県知事が認可し(法26条)、公告がなされます(法27条)。
この公告があった管理協定は、その実効性を確保するため、公告後にその管理協定区域内の土地または木竹の所有者または使用収益権を有することになった者に対しても、効力が及ぶものとされています(法29条)。
【法35条1項~3項、5項~8項(緑化率)】
緑化地域が定められた場合、当該地域内において、敷地が一定規模以上の建築物の新築等を行なうときは、当該建築物の緑化率を都市計画で定める緑化率の最低限度以上としなければなりません(法35条1項~3項、5項~8項)。
(解説)
緑化地域内においては、敷地面積が政令で定める規模(1000平方メートル。ただし、市町村は条例で300平方メートル以上1000平方メートル未満の範囲で別に定めることができる)以上の建築物の新築または増築をしようとする者は、当該建築物の緑化率を、緑化地域に関する都市計画において定められた建築物の緑化率の最低限度以上としなければなりません。当該新築または増築をした建築物の維持保全をする者についても同様です(法35条1項)。
緑化地域内の高度利用地区、特定街区、都市再生特別地区または壁面の位置の制限が定められている景観地区の区域内における緑化率については、特別の規制が設けられています(法35条2項)。
これらの規制は、その敷地の周囲に広い緑地を有する建築物で、市町村長が許可したもの等一定の建築物については適用しないことになっています(法35条3項)。
また、一定の建築物については、その緑化等を特別に定める旨の詳細な規定を設けています(法35条5項~8項)。
【法36条(一定の複数建築物に対する緑化率規制の特例)】
建築基準法上、一定の複数建築物に対する制限の特例(同法86条)の適用のある建築物については、緑化率規制についても同様の特例を設けています(法36条)。
(解説)
建築基準法86条は、例えば、一団地内に2以上の構えを成す建築物で総合的設計によって建築されるもののうち、一定の要件を満たすものは、同法の多くの規定の適用にあたって同一敷地内にあるものとみなす旨の特例を定めていますが、都市緑地法の緑化率に関する35条の適用についても、これらの複数建築物が同一敷地内にあるものとみなすものとしています。
【法39条1項(地区計画等の区域内における緑化率規制)】
地区計画等緑化率条例においては、地区整備計画等で定められた緑化率の最低限度を、建築物の新築等に関する制限として定めることができます(法39条1項)。
(解説)
市町村は、建築物の緑化率の最低限度が定められている地区計画等の区域内において、当該地区計画等の内容として定められた建築物の緑化率の最低限度を、条例で、建築物の新築または増築および当該新築・増築した建築物の維持保全に関する制限として定めることができます。
【法50条および法54条4項(緑地協定の効力等)】
土地所有者、建築物その他工作物の所有を目的とする地上権または賃借権を有する者は、全員の合意により緑地協定を結ぶことができます。建築基準法に基づく建築協定と類似した規定となっています。
(解説)
市町村の許可を受けて公告された緑地協定は、公告後にその緑地協定区域内の土地の所有者や賃借権者等になった者についても効力がおよびます(法50条)。
都市計画区域内の相当規模の一団の土地の所有者が1人しかいない場合においては、その所有者は、市町村長の認可を受けて、その土地の区域を緑地協定区域とする緑地協定を定めることができます(法54条1項)。
この協定は、認可の日から3年以内に、当該緑地協定区域内の土地に2以上の所有者や賃借権者等が存することとなったときから、一般の緑地協定と同一の効力を有する緑地協定となります(法54条4項)。