18〕 都市再開発法(12)

市街地再開発事業には、従来からの一般的な手法の第1種市街地再開発事業と、防災および衛生上等の観点から早急に施行を必要とする第2種市街地再開発事業があります。

第1種市街地再開発事業は、権利変換方式により施行する事業で、その中でも、「原則型」、自由な権利変換を前提とする「全員合意型」および特別な事情による「地上権非設定型」があります。

第2種市街地再開発事業は、管理処分の方式により施行する事業で、公共性が高いため、個人および市街地再開発組合以外の施行者が施行します。

【法7条の4第1項(市街地再開発促進区域内における建築制限)】

市街地再開発促進区域内では、主要構造部が木造、鉄骨造り、コンクリートブロック造り等で、地階を有せず階数が2以下の、容易に移転除却ができる建築物(建築基準法59条1項1号に該当する建築物)を建築しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければなりません(法7条の4第1項)。

 

(解説)

市街地再開発促進区域は、第1種市街地再開発事業のみを施行するものとして、都市計画において定められる区域です(法7条1項)。

促進区域の指定は、第1種市街地再開発事業の促進を図るため、事前に建築等の制限を加え事業への移行を円滑に行う仕組みとなっています。

【法66条1項(第1種市街地再開発事業の施行区域内における建築行為等の制限)】

事業認可に係る公告(法60条2項の規定による事業計画の決定の公告等)があった後は、施行区域内において、第1種市街地再開発事業の施行の障害となるおそれがある、次の行為を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければなりません(法66条1項)。

①土地の形質の変更

②建築物・工作物の新築、改築、増築

③政令で定める移動の容易でない物件の設置もしくは堆積

【法95条の2 (個別利用区内の宅地の使用収益の停止)】

既存建築物の除却を基本とする市街地開発事業において、有用な既存建築物の有効活用を図るため、一定の既存建築物を存置または移転することができる区域を定めることができ、この区域を「個別利用区」といいます(法7条の11)。個別利用区内においては、権利変換期日以後に宅地またはその使用収益権を取得した者は、工事完了公告があるまで、その宅地について使用し、または収益することができません(法95条の2)。

 

(解説)

第1種市街地再開発事業は、土地の買収に基づかず権利変換の方式で事業を施行するため、第2種市街地再開発事業が土地の買収に基づく管理処分の方式で事業を施行するものと異なり、施行地区内での土地収用法に基づく土地の収用または使用制限はありません。

 

他の都市計画事業と同様に、事業が施行されることが確定した段階で、建築行為等の制限がはたらきます。